クリニック通信

職場の対人関係ストレスと適応障害

うつ、不安、不眠などに困って受診していただく方にお話を伺っていくと職場の人間関係がきっかけや原因となっていることが少なくありません。

社会人として乗り越えるべきストレスなのか適応障害に入ってしまっているのか?
本人のみならず周囲の人もなかなか判断がつかないと思います。例えば、会社の上層部には諂い、部下には威圧的で手柄を平気で横取りするような上司に目の敵にされたとします。そのような状況になれば平静を保って勤務することは難しいし気が滅入ったり、上司が近くに来ただけで不安になってどきどきしてしまうかもしれません。会社に行くのはしんどいけど何とか我慢して会社から出てしまえばすっきりして、休日は趣味を楽しんだり適当に気分転換してやりくりできていればストレスの範疇です。仕事が終わってもうつや不安を引きずって休みでも職場のことが頭からはなれない状態で、そのようなストレス状況になる前と比べて症状として自覚したり、周囲からみても元気がなくなっているようなら適応障害になっていると思われます。

負担となる状況に陥ってもなんとかこころのバランスを保ってしのいでいけるような柔軟性を維持できればいいのですが、職場での状況だけでなく、プライベートや体調、もともとのストレス耐性などさまざまな要因が適応障害の発症に関係していると考えます。症状として出てしまうとこころの病気になります。決して本人の性格や弱さの問題ではありません。

適応障害の経過
適応障害は環境調整や時間とともに症状は軽快していくものですが、時に遷延してうつ病に近い状態まで悪化してしまうケースも経験しています。悩み過ぎて本格的に調子を崩してしまう前に専門機関に相談することをおすすめします。